クリスマスも終わったね。昨日、写真家のMarc Silberとその仲間達を収録するためにサンタクルーズの12seconds.tvを訪問した。
駄目かなというのが12seconds.tvの第一印象だったんだけど、Twitterの時も大半の人がそう思ったはずだ。ということで、この第一印象は昨日もらったクリスマスプレゼントの包装紙と一緒にゴミ箱へ放り込もう。
それはどんなもの?かというと、一回の投稿につき12秒までのビデオをアップロードもしくは録画出来るようにしてくれるサービスだ。ビデオ版Twitterといった感じ。世界中で熱心な支持者を獲得した。
まぁそれは置いとくとして。
この30分のビデオインタビュー収録を通じて、このチームとその提供するサービスに注目すべき理由と、この会社が勃興しつつある「現実に即した」経済における技術系スタートアップ企業のありようを示しているということが私には判った。(ビデオは2部に分けた。第一部はこちら。第二部はこちら)
- このサービスは彼らの本業ではない。彼らは皆、日中は別のところで勤務し、夜間や週末を使ってサービスを構築している。クリスマスあけに訪問した理由というのも実はこの点にある。
- 彼らは勃興しつつある「reality economy(現実に即した経済)」すなわち食っていけるだけの収入源が見つかるまでは自己資本でしのぐというやり方を採用している経済システムの一員である。ベンチャーキャピタルの資本に頼るのは、そういった収入源が結局見出せなかった場合だけだ。
- 彼らは「クラウドバースト」アーキテクチャを利用している。ビデオの全ては自社サーバにて管理されるが、人気のあるビデオはAmazon.comのWebサービスへファイルを移動し、トラフィックをそちらに移すことで自社サーバが過負荷になることを避けている。これにより非常に効果的かつ安価に、多くの人にサービスが提供出来る。
- 何事もTwitterで済ますというのが彼らのやり方だ。顧客サービスやコミュニティ作りといったものもだ。画面上にはTweetDeckが表示されているし、クリスマス当日であってもiPhoneから質問に解答してくれた。
- 財源の不足こそが、彼らに一つの事業、たった一つの事業への集中へと向かわせた(Podtechもこういった点について学んでくれればいいのに)
- ビデオの第二部では「みんながお金を払ってくれるようなサービスでなきゃ構築する意味ないじゃん」という考えに基づいて、課金型の新作iPhoneアプリをデモしている。
彼らが「現実に即した」という表現を通じて言わんとする事は何だろう? うん、彼らはもう気付いているんだ。投資家連中が収益化出来そうなアイデアを血眼になって探しているということを、コミュニティサポートを視野に入れていないサービスは彼らの眼中には無いということを、そして彼ら自身、2年やそこらで収益化出来るような素晴らしいアイディアの持ち合わせは無いということを。
勃興しつつある「現実に即した」技術系スタートアップ企業の世界へようこそ。他にもこういった例は無いかな?
訳者コメント:
37signalsの言う"Getting Real"の好例。ちなみにrealには今のところ2つのコンテキストがありそうだ。
- virtualの対義語としてのreal。real economy=実体経済/virtual economy=金融経済とみなしてよい。課金ベース=real/広告ベース=virtualという図式も成り立ちそうだ。
- reality TVなどに見られるreal。新聞などの従来マスコミでは見られないrealということで、ミクロでパーソナルな視点のメディアにより提供されるものとみなしてよい。
0 件のコメント:
コメントを投稿