2009年4月28日火曜日

[37signals] デザイン: 世界の商標登録証

(原文: Designed: Trademarks, Worldwide)

この件に関しては日本に軍配を挙げなきゃ。今日、厚手の紙にきらびやかな金箔と朱印が押されたウチの商標登録証が送られてきた。この傑作のことをいいふらしたいんだよねワタシ、とまわりに話し続けている:



ずば抜けてる。というのも、日本以外では世界中を見わたしてもこんな感じだから:



オーストラリア政府に感謝いたします。格別につまらない事例として上がってくれたことにね。


訳者コメント:
わざわざ手間暇かけてこういったことをする点にこそ日本文化の本質があるということ。文化をはかるメトリックのひとつに、どれだけ無駄を許容出来るか、というのがあるけど、システム構築における冗長性確保と同様、文化の懐の深さというものはこういった一見無駄に見えるものを大切にするところから産まれるらしい。

何が無駄で何が無駄でないか。この難しい問いに取り組んできた日本人は多い。侘び茶にしても俳諧にしてもこの問題に関する回答例として鍛え上げられ、こんにちの日本人も利用出来るオブジェクトになっている。含まれるメソッドのうちのいくつかはそのまま手軽に使えるけど、中にはvirtual宣言されたものもあり、こいつの実装はおまえがやるしかねぇんだよ、と利休がにやにやしている。

それにしても「クールジャパン」という言い方は勘弁してほしい。日本には「数寄」という、まさにこういったことを表現するのにぴったりな言葉があるのに。

[メモ] スパム認定解除記念日

スパム認定に気付いてアンロック要請したのが4月20日だったので、解除まで1週間程度かかったことになる。認定はbotがやるにしても解除は人手がかかるわけで、釈然としない部分も無い訳ではないのだが、納得は出来る。

こういった誤認を見るにつけ、中の人というか人間意識の存否判定は(広い意味での)チューリングテストも含め、まだまだ難しいのだということを思い知らされる。その難しさの源にあるのは、botと人間を見分けるためにはコンテンツではなくコンテキストに着目する必要があるからだという事実なのだろう。

2009年4月26日日曜日

[メモ] スパム認定が解除されない

2営業日はとっくに過ぎたのだが

2009年4月20日月曜日

[メモ] ここまで堕ちたか

知的財産戦略本部会合(第22回)議事次第

もういいよ。諸君には何も期待してないから。でも、せめて足をひっぱるのだけはやめてくれないか。

[37signals] この手は今でも使える

(原文: The method still works)

開発言語は増えたけど、2004年に投稿したこの手法Alexanderにインスパイアされたんだ)はUI設計において多数の構成要素をやりくりする際に今でも大きな助けになっている。私がこの手法に立ち返る理由は、空っぽのテンプレートを相手にするんじゃなくて最初から開発言語を用いて設計を進める事が出来るからなんだ。設計というと、トップダウン式に空っぽのコンテンツ表示領域(多分メインカラムとサイドバーだね)を「出来上がり」になるまで埋めていくことから始める、というのがあまりにも多い。ページに大量のがらくたを詰め込むことこそが設計目標だとでも言うんなら、こういった表示領域を埋めていくというやり方でも別にいいけどさ。

復習するとこんな感じ:
  1. その画面で行うべきことを全て列挙する。顧客はこれにより何を遂行出来るのか? 表示すべき情報は何か? 顧客が処理を開始しゴールに至るまでの道のりを把握出来るようにするには、どんなアフォーダンスを提供する必要があるか? 列挙したものには番号を振っておこう。
  2. 番号を振ったアイテムのうち概念的または表示スペース的に関連があるものを見つけ出す。見つけ出したもののグループには文字を割り振っておこう。
  3. 番号または文字を割り振った個々のアイテムについてスケッチを書こう(いくつか書いてみるのも可)
  4. 個々のばらばらなスケッチを組み合わせることで設計をまとめる。パズルのピースをうまく組み合わせて全体像に持っていこう。
忘れちゃいけないのは、次にやるべきことはワイヤフレームに磨きをかけることなんかじゃないってこと。実際にクリックして動かせるコードにするんだよ。(訳注: ワイヤフレーム云々については過去にこんな記事があった)

2009年4月19日日曜日

[メモ] 窓から投げ捨てろ

幸福というものに重きを置きすぎることが不幸の根源になっている。

幸福かどうかなんて大した事じゃない。幸福かどうかに関わらず我々は生を引き受け、享受したり格闘したりしなければならぬ存在なのだから。嫌ならリセットというのもありなのかもしれないが、どうやら問題の先送りにしかならないようで、そういう意味では九種九牌で流せる麻雀よりはシビアなゲームだと言えよう。

似たような事として、健康を重んずるあまり却って不健康になるというのがある。幸福と健康の両者とも「質的側面が強く、定量的に測定出来ない」「そもそもメトリックがあるんか?」という共通点がある。大概の事柄についても同様の事が言えるんだが、特に幸福というものが我々の生においてまるで銀の弾丸のように万能の尺度としてもてはやされているのを見るにつけ、笑い出さずにはいられない。

ということで「幸福を追求する限り不幸はつきまとう」と考えるのが得策かと存ずる。逆もまた真かどうかは試した事がないのでわからない。

ちなみにココネさんはこういったことに対処するにあたって「最近、少し気楽になる方法を見つけました。あまり気楽になろうとしないことです」(3, p47)という処方箋を出してくれている。

2009年4月18日土曜日

[メモ] Damien Katz が語るクラウドの本質

クラウドをバズワード化させないためにも、こういった地に足の着いた論者の言に耳を傾けたい。

I think most people think of cloud computing as a way to temporarily get access to large clusters of machines, for doing things like large scale number crunching or handling massive floods of traffic. In the past, that's where cloud computing has had a lot of success, building and housing massive clusters is very expensive. But it's only half of the cloud computing story, and I think in the grand scheme of the things, it's the less important half.

大概の人はクラウドコンピューティングを、膨大な量の高速演算を行ったり通信トラフィックの洪水を上手くハンドリングするために「大規模なマシン群に必要に応じて一時的にアクセスし利用する」ことだと思っているようだ。たしかに昔のクラウドコンピューティングはそういった分野で大いに成功を収めたものだ、大金を注ぎ込んでマシン群を構築し施設に収容してね。でも、クラウドコンピューティングという構想においては、こういった事はほんの半面でしかないし、クラウドコンピューティングが本来持つ深遠なる企図からすれば、重要性という点で残りの半面に劣る。

The real future of cloud computing about being a simple, low cost, high availability way to get your data and applications online, saving you the cost and hassle of building and maintaining your own infrastructure. You aren't just saving yourself from building a cluster, but from installing applications, applying patches, monitoring security, keeping backups, etc. Your cloud provider maintains the applications while making sure your data is safe, secure and accessible. They worry about the infrastructure so you don't have to. Think Google Docs and Salesforce.com.

将来におけるクラウドコンピューティングの本質は、諸君がネット上に置いているデータやアプリを手元に持ってくる為に諸君自らがインフラを構築・メンテナンスするコストと労力を排除し、シンプルかつローコストで有用性の高い方法を提供する事にある。大規模なマシン群を構築する必要がなくなるだけじゃなく、アプリケーションのインストール・パッチの適用・セキュリティ状況の監視・バックアップといったことをする必要がなくなる。諸君の利用しているクラウドプロバイダはデータの保全・セキュリティ・アクセス確保と同時にアプリケーションのメンテナンスもしてくれている。諸君がそういったことに煩わされないようにするためにインフラへの心配りをしているのだ。Google DocsやSalesforce.comのことを思い浮かべてごらん。