DARING FIREBALL で取り上げられていた、Alex Payne の「クラウドコンピューティングというより使い捨てコンピューティングじゃね?」というChrome OSについてのつぶやきには思わず頷いてしまった。ムーアの法則の行き着くところを考えれば当然そうなるし『写ルンです』という他業種の前例もある。
Tim O'Reilly の "3. Data is the Next Intel Inside" というフレーズが思い起こされる。またこいつらの一人勝ちかよw
Alex Payne と言えば Twitter の Scala への移行ネタで始めて名前を知ったのだが、記事の出た日が4月1日だったためエイプリルフール乙で済ませてしまい、後で慌てた記憶がある。
2009年11月20日金曜日
2009年4月18日土曜日
[メモ] Damien Katz が語るクラウドの本質
クラウドをバズワード化させないためにも、こういった地に足の着いた論者の言に耳を傾けたい。
I think most people think of cloud computing as a way to temporarily get access to large clusters of machines, for doing things like large scale number crunching or handling massive floods of traffic. In the past, that's where cloud computing has had a lot of success, building and housing massive clusters is very expensive. But it's only half of the cloud computing story, and I think in the grand scheme of the things, it's the less important half.
大概の人はクラウドコンピューティングを、膨大な量の高速演算を行ったり通信トラフィックの洪水を上手くハンドリングするために「大規模なマシン群に必要に応じて一時的にアクセスし利用する」ことだと思っているようだ。たしかに昔のクラウドコンピューティングはそういった分野で大いに成功を収めたものだ、大金を注ぎ込んでマシン群を構築し施設に収容してね。でも、クラウドコンピューティングという構想においては、こういった事はほんの半面でしかないし、クラウドコンピューティングが本来持つ深遠なる企図からすれば、重要性という点で残りの半面に劣る。
The real future of cloud computing about being a simple, low cost, high availability way to get your data and applications online, saving you the cost and hassle of building and maintaining your own infrastructure. You aren't just saving yourself from building a cluster, but from installing applications, applying patches, monitoring security, keeping backups, etc. Your cloud provider maintains the applications while making sure your data is safe, secure and accessible. They worry about the infrastructure so you don't have to. Think Google Docs and Salesforce.com.
将来におけるクラウドコンピューティングの本質は、諸君がネット上に置いているデータやアプリを手元に持ってくる為に諸君自らがインフラを構築・メンテナンスするコストと労力を排除し、シンプルかつローコストで有用性の高い方法を提供する事にある。大規模なマシン群を構築する必要がなくなるだけじゃなく、アプリケーションのインストール・パッチの適用・セキュリティ状況の監視・バックアップといったことをする必要がなくなる。諸君の利用しているクラウドプロバイダはデータの保全・セキュリティ・アクセス確保と同時にアプリケーションのメンテナンスもしてくれている。諸君がそういったことに煩わされないようにするためにインフラへの心配りをしているのだ。Google DocsやSalesforce.comのことを思い浮かべてごらん。
ラベル:
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cloud computing,
メモ
2008年11月5日水曜日
[VentureBeat] Salesforce.comがMicrosoftについて言及: 「彼らはみんなを憎んでいる」
(原文: Salesforce.com on Microsoft: “They hate everybody”)
CEOのMarc Benioffによると、Salesforce.comの戦略は「愛」の一言に集約されるという。もちろんこれは、今日サンフランシスコで行われたDreamforceカンファレンスの席での、アナリストやレポーターからの質問に対する、冗談半分の回答である。しかしながら彼は、いかにしてSalesforce.comがソフトウェアの巨人であるMicrosoftをクラウドコンピューティング市場において打ち負かすか、という点に関する現実的な議論を我々に示した。
Benioffは言う「他にMicrosoftがユーザに提供しているものと同様、新たに発表されたMicrosoftのクラウドコンピューティング向けアプリケーションプラットフォームであるWindows Azureは、結局のところ、人々をMicrosoftの製品やサービスに縛り付けるためのものだ」「一方、Salesforceは、CRMサービスとビジネスアプリケーション構築プラットフォームであるForce.comの両面に関し、よりオープンで協力的である」「Salesforceが関心を持っているのは、複数のクラウドやプラットフォームや機器をつなぐことであり、今日行った『FacebookおよびAmazonウェブサービスとの連携』や『Google Appsとの連携』という発表がこのことを証明している」
Benioffが言うには「MicrosoftとSalesforceを比較すると、彼らはみんなを憎んでいる、我々はみんなを愛している。これは大きな違いだ。我々はMicrosoftのことすら愛している。これこそが我々の戦略の中心にある『愛』というものだ」
観客の一人が、Benioffのオープン性に関する発言は誇大に過ぎるのではないかと詰め寄るとBenioffは、自分が言っているオープン性とは他社との協力性のことであり、オープンソースそれ自体のことではない、ということを強調した。彼はまた、Force.comにクローズドな面、すなわちForce.com上で動作するアプリケーションを構築し、他のプラットフォームへ接続するのは可能だが、そのアプリケーションを他のクラウドへ完全移行するのは不可能であるということについても認めた。
「我々の業界において、コードの移植性は必須というわけではない」とBenioffは言い、AppleのApp Storeを、多少クローズド(今となってはこれも控えめな言い方ということになるが)なプラットホームではあるが、何はともあれ繁盛しているとして例に挙げた。
Benioffはまた、なぜ他のネットワーク、なかでも特にビジネス指向の強いLinkedInといったネットワークではなく、Facebookを最初の提携先としたのかという点について語った。Force.comはそのうちLinkedInやMySpaceとも提携する計画になっているが、ユーザ面およびプラットフォーム基盤と言った面から見て、Facebookを第一とすべきなのはどう考えても明らかだった、というのがその理由だ。
最後にBenioffは、Salesforceが現今の景気後退にどう対応していくかという質問についていくつか取り上げた。共通するテーマは「今後も我々の今持っている戦略にこだわっていきたい」というものだった。例えば、OracleのCEOであるLarry Ellisonが「景気後退によりバーゲン価格で企業を買収する好機が訪れた」と言ったのに対し、BenioffはSalesforceの企業買収計画を変えるつもりは無いと述べた。もう一人の質問者は、Salesforceの拡張アプリケーションを販売するベンダーのうちのいくつかは景気後退により職を失う事になるだろうが、これはSalesforceの顧客にとっては良くない事だと指摘した。これに対しBenioffは、Salesforceは今までずっと顧客にブリッジ(訳注:ソフトウェア間の橋渡しをするもの)を提供することに努めており、ベンダーが職を失ったとしても顧客が損害を受ける事は無いと答えた。
「この件に関する私の考え方は実に単純なもので」と彼は言う。「今のところ、ビジネスの本質に関わる部分の大幅変更はしたくない」
CEOのMarc Benioffによると、Salesforce.comの戦略は「愛」の一言に集約されるという。もちろんこれは、今日サンフランシスコで行われたDreamforceカンファレンスの席での、アナリストやレポーターからの質問に対する、冗談半分の回答である。しかしながら彼は、いかにしてSalesforce.comがソフトウェアの巨人であるMicrosoftをクラウドコンピューティング市場において打ち負かすか、という点に関する現実的な議論を我々に示した。
Benioffは言う「他にMicrosoftがユーザに提供しているものと同様、新たに発表されたMicrosoftのクラウドコンピューティング向けアプリケーションプラットフォームであるWindows Azureは、結局のところ、人々をMicrosoftの製品やサービスに縛り付けるためのものだ」「一方、Salesforceは、CRMサービスとビジネスアプリケーション構築プラットフォームであるForce.comの両面に関し、よりオープンで協力的である」「Salesforceが関心を持っているのは、複数のクラウドやプラットフォームや機器をつなぐことであり、今日行った『FacebookおよびAmazonウェブサービスとの連携』や『Google Appsとの連携』という発表がこのことを証明している」
Benioffが言うには「MicrosoftとSalesforceを比較すると、彼らはみんなを憎んでいる、我々はみんなを愛している。これは大きな違いだ。我々はMicrosoftのことすら愛している。これこそが我々の戦略の中心にある『愛』というものだ」
観客の一人が、Benioffのオープン性に関する発言は誇大に過ぎるのではないかと詰め寄るとBenioffは、自分が言っているオープン性とは他社との協力性のことであり、オープンソースそれ自体のことではない、ということを強調した。彼はまた、Force.comにクローズドな面、すなわちForce.com上で動作するアプリケーションを構築し、他のプラットフォームへ接続するのは可能だが、そのアプリケーションを他のクラウドへ完全移行するのは不可能であるということについても認めた。
「我々の業界において、コードの移植性は必須というわけではない」とBenioffは言い、AppleのApp Storeを、多少クローズド(今となってはこれも控えめな言い方ということになるが)なプラットホームではあるが、何はともあれ繁盛しているとして例に挙げた。
Benioffはまた、なぜ他のネットワーク、なかでも特にビジネス指向の強いLinkedInといったネットワークではなく、Facebookを最初の提携先としたのかという点について語った。Force.comはそのうちLinkedInやMySpaceとも提携する計画になっているが、ユーザ面およびプラットフォーム基盤と言った面から見て、Facebookを第一とすべきなのはどう考えても明らかだった、というのがその理由だ。
最後にBenioffは、Salesforceが現今の景気後退にどう対応していくかという質問についていくつか取り上げた。共通するテーマは「今後も我々の今持っている戦略にこだわっていきたい」というものだった。例えば、OracleのCEOであるLarry Ellisonが「景気後退によりバーゲン価格で企業を買収する好機が訪れた」と言ったのに対し、BenioffはSalesforceの企業買収計画を変えるつもりは無いと述べた。もう一人の質問者は、Salesforceの拡張アプリケーションを販売するベンダーのうちのいくつかは景気後退により職を失う事になるだろうが、これはSalesforceの顧客にとっては良くない事だと指摘した。これに対しBenioffは、Salesforceは今までずっと顧客にブリッジ(訳注:ソフトウェア間の橋渡しをするもの)を提供することに努めており、ベンダーが職を失ったとしても顧客が損害を受ける事は無いと答えた。
「この件に関する私の考え方は実に単純なもので」と彼は言う。「今のところ、ビジネスの本質に関わる部分の大幅変更はしたくない」
2008年11月2日日曜日
[buzzword] オライリーのクラウド論に対するニコラス・カーの反論
[Rough Type] What Tim O'Reilly gets wrong about the cloud
・例のオライリーのクラウド論に、毎度お騒がせのニコラス・カーが突っ込みを入れている。オライリーのことをWeb2.0 impresario、つまりWeb2.0興業師・Web2.0香具師としているあたり、ホント喧嘩上等なおっさんだw。
・カーの疑問は「network effectがGoogleの市場支配における原動力だった、というオライリーの主張は本当に正しいのか?」というとこから出発し、「どうもオライリーは正しい知識を取り扱うというWeb2.0の命題と、多くの人が利用すればするほどソフトは良くなるということをごっちゃにしている」と論じている。
・最後の一文にあるように、クラウドはWeb2.0の構成要素でしかないというのがカーの結論だ。「オライリーの野郎、またバズワードをがなりたてやがって」といったところだろう。
・例のオライリーのクラウド論に、毎度お騒がせのニコラス・カーが突っ込みを入れている。オライリーのことをWeb2.0 impresario、つまりWeb2.0興業師・Web2.0香具師としているあたり、ホント喧嘩上等なおっさんだw。
・カーの疑問は「network effectがGoogleの市場支配における原動力だった、というオライリーの主張は本当に正しいのか?」というとこから出発し、「どうもオライリーは正しい知識を取り扱うというWeb2.0の命題と、多くの人が利用すればするほどソフトは良くなるということをごっちゃにしている」と論じている。
・最後の一文にあるように、クラウドはWeb2.0の構成要素でしかないというのがカーの結論だ。「オライリーの野郎、またバズワードをがなりたてやがって」といったところだろう。
[buzzword] オライリーのクラウド論
[O'REILLY radar] Web 2.0 and Cloud Computing
・Hugh Macleodの「クラウドコンピューティングは独占につながる」という議論に対し、まずはエリソンの2週間ほど前の発言やAMAZONのJeff Bezosがクラウド上等と言ってたよといったネタで反論している。
・「クラウドコンピューティングの種類」としてユーティリティコンピューティング、PAAS(サービスとしてのプラットフォーム)、クラウドベースのユーザアプリの3つを挙げて、それぞれの内容について触れている。
・「おいしいところに関する法則」とはクリステンセンからの引用。金のなる木のようなものか。モジュール化とコモディティ化によりおいしい部分がバリューチェインから消えるとき、通常は隣接する部分に新たなおいしい部分が現れてくる、といった主旨。
・ソフトそのものでなく明示的/暗黙的なユーザの貢献こそが重要であるというオープンソース、ひいてはWeb2.0の性質は、クラウドコンピューティングの分散的性質と重なっており、これこそが次なる金のなる木の正体だと主張している。
・この意味で、エリソンの考えるクラウドとはソフトウェアレイヤーの話にすぎないとして、クラウドとオープンソースは巨大な利益をあげる企業を多数生み出す事はないだろうという部分には同意しながらも批判する。
・クラウドこそが新しいルールであり、新しいルールに適応した者が勝つ。エリソンの見当違いはCompaqのような滅び去った巨人のたどった道、もしくはUnisysのように特定分野から手を引けずに低迷する道へと続く。
・データ集積に関するネットワーク効果を生み出すためのプラットフォームを作る企業こそがHugh Macleodの考えるような巨大独占企業の地位を得るだろう。
・Hugh Macleodの「クラウドコンピューティングは独占につながる」という議論に対し、まずはエリソンの2週間ほど前の発言やAMAZONのJeff Bezosがクラウド上等と言ってたよといったネタで反論している。
・「クラウドコンピューティングの種類」としてユーティリティコンピューティング、PAAS(サービスとしてのプラットフォーム)、クラウドベースのユーザアプリの3つを挙げて、それぞれの内容について触れている。
・「おいしいところに関する法則」とはクリステンセンからの引用。金のなる木のようなものか。モジュール化とコモディティ化によりおいしい部分がバリューチェインから消えるとき、通常は隣接する部分に新たなおいしい部分が現れてくる、といった主旨。
・ソフトそのものでなく明示的/暗黙的なユーザの貢献こそが重要であるというオープンソース、ひいてはWeb2.0の性質は、クラウドコンピューティングの分散的性質と重なっており、これこそが次なる金のなる木の正体だと主張している。
・この意味で、エリソンの考えるクラウドとはソフトウェアレイヤーの話にすぎないとして、クラウドとオープンソースは巨大な利益をあげる企業を多数生み出す事はないだろうという部分には同意しながらも批判する。
・クラウドこそが新しいルールであり、新しいルールに適応した者が勝つ。エリソンの見当違いはCompaqのような滅び去った巨人のたどった道、もしくはUnisysのように特定分野から手を引けずに低迷する道へと続く。
・データ集積に関するネットワーク効果を生み出すためのプラットフォームを作る企業こそがHugh Macleodの考えるような巨大独占企業の地位を得るだろう。
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cloud computing
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