(原文: What's the suckage to usage ratio?)
送料が決まらないうちは製品はまだ完成とは言えない(訳注:極端に言えばということ)。製品に万全を期すると、いつまでたっても製品が完成しないということになるだろう。幸いなことに、諸君はどちらのフィーチャーを選べばより完璧に近づけるのかを判断することが出来るし、ちょっと手を抜けるのはどっちなのかを判断することも出来る。Kindle DXがこのことに関する好例だ。Kindleで本を読みページをめくるのは素晴らしい体験をもたらしてくれる。だが一方、キーボードを使うのはしんどい。キーを押すのに苦労する。モディファイアキー(訳注:シフトキーやコントロールキーなど、他のキーと併用するキーのこと)には混乱させられる。しょっちゅう打ち間違えるし、カーソル移動はもたつくし、修正もしづらい。でも、こういった全ての問題にも関わらず、私は未だにこの電子機器が好きだ。
不具合のあるフィーチャーがあってもUX全体としてはユーザを納得させる良い方法として「使えない:使える」比がある。どんなフィーチャーであれ、それを「使えない」と槍玉に挙げることは可能だが、製品全体という観点からすれば、そのフィーチャーをどの程度頻繁に利用するかを計算に入れないことには何の意味も無い。科学的とはお世辞にも言えない表なのだが、これをご覧頂きたい
Kindleで本を読むという点については何の問題も無くて(5段階の0)、文字入力は全然使えなくて(5段階の5)、読む本の切り替えはちょっと使えない(5段階の1)だと仮定しよう。私がこの機器に費やす時間の90%がただ単に読むことだけであることを考慮すれば「使えない度」の重みは5段階のうちのわずか0.22ということになる。裏を返せば「使える度」は4.78と、ほぼ五つ星なのである。
Kindleのデザイナーにしてみれば、全てのフィーチャーを盛り込むには時間がかかりすぎるしその時間もわずかという状況下では、キーボードに関して手を抜くと言うのは合理的帰結である。キーボード入力がもっと重要になってきそうな第3世代や第4世代のKindleではキーボードの変更がなされるかもしれない。どこに重点が置かれるかはそのうち変わるものだが、今のところは公正な処置と言って良い。
製品の一部についてあえて標準的な仕様に従わないという姿勢を受け入れるのは、理屈の上では容易い。だが実際には、刀を捨てるのは辛い。改善の余地があることを知りながらそのフィーチャーを世に出そうなんて誰も思わないのだ。だからこういった状況に直面したら、完璧に仕上げることがそれに見合った価値を持つかどうかを見極めるため、方程式に利用頻度という要素を付け加えてみることだ。
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