2010年1月6日水曜日

[37signals] "It Might Get Loud" と、なりたく「ない」自分を知ることの重要性について

(原文: "It Might Get Loud" and the importance of knowing what you don't want to be

Getting Real 所収の "Have an Enemy"(敵を作れ)というエッセイからの引用
喧嘩を売れ
時々あることだが、諸君のアプリケーションがどうあるべきかを知る最善の方法は、それがどうあるべきで「ない」かを知ることである。諸君のアプリにとっての敵について考えることが諸君の進むべき道に光を当てることになる。
Led Zeppelinのジミー・ペイジ、U2のジ・エッジ、White Stripesのジャック・ホワイトによるジャムセッションと討論をまとめた "It Might Get Loud(音でかくならんかなぁ)" という実に良くできたドキュメンタリーを見ながら、このことを思い出していた。このドキュメンタリーでは、彼らがそれぞれのギター演奏スタイルをどう発達させてきたかが明らかにされている。


敵を作ることから始めよ

彼らがそれぞれ自分のトレードマークとなったサウンドにどうやって辿りついたのかを語り進めるにつれて明確になってきたのは、彼らはどう聞こえて欲しく「ない」かを明確にすることから始めたのだという点だ。敵を作ることから始めたのだ。

ジミー・ペイジは自分のレコードではなく他人のレコード向けに演奏するセッションミュージシャンだったが、この仕事にはうんざりしていた。全てがあまりにもガチガチで自由がなかった。テンポも厳密に決められていた。ダイナミクス(訳注: 音量の大小)も皆無だった。画一的サウンドが全てだった。音楽とは呼べないような、たどたどしいオマケ的音楽だった。

だから彼はLed Zeppelinを結成した。彼は陰と陽の両方を使えるバンドが欲しかった。曲の中盤で速度や音量を上げたり出来るようにしたかった。曲を長く引き伸ばしたかった。バイオリンの弓で弾いたりとんでもない奏法をしてみたかった。

U2結成時にジ・エッジは、当時幅をきかせていた頭でっかちで自己満足的なプログレバンドとは正反対の存在になろうとした。彼は必要最低限の演奏を目指した。力仕事(訳注: 音の厚みを出すこと)の大半はエコー・エフェクターで済ませた。出来るだけ少ない音数でコードを弾く方法を考え出した。

White Stripesは「テクノロジーは創造性の敵だ」というジャック・ホワイトの考えから生まれた。ずらっと並んだエフェクターペダル、新品のギター、何tもの機材を積んだトラックといったものを彼は使おうとしなかった。生のままな、一期一会なものを目指した。

まず最初にどんな音を出したく「ない」かを明確にした彼らはそれぞれ、独自でソウルフルなサウンドを作り出すのに成功した。進むべき道を彼らに教えたのは彼らの敵なのだ。

諸君がうんざりしているものは何か?
以上全ての話に含まれていることが、ここかしこにはびこる流行というものが如何に成立したかを思い起こさせてくれる。服装についてだけでなく、音楽やビジネスやその他ゴマンとある事柄についても言えることだ。人々はトレンディなものならばそれが何であれ群がり集まる。そしてこれは、皆が同じものを求めている場合は違った方向に向かうことが好機をもたらすということを意味する。

世間が今まさにしていることで、諸君がくだらないと思っていることは何か?諸君の携わる分野における流行で、諸君が馬鹿げていると思っていることは何か?脚光を浴びることになっても諸君の思想は変わらずにいられるか?もしそうならば始めたまえ、自分は世間と逆なのだと明白にすることを。

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