2009年2月7日土曜日

[37signals] アクセル・ローズ vs. フランク・シナトラ:時間を掛けりゃ良いってもんじゃない

(原文: Axl vs. Frank: More time doesn't mean a better product)

よくある考え方で「時間を掛けければかける程、出来は良くなるものだ」というのがある。これはおそらく、ある程度ならば正しい。だがしばらくすると、というかすぐにかもしれないが、みんなこの考え方に必要以上にこだわってしまうことになる。

物事にはみな、頃合いというものがある。切り上げ時というやつだ。結局のところ、いじり回したいが為だけに、えんえんと時間をかけていじっているにすぎない、ということなのだ。いじり回しているうちに駄目にしてしまう事すらありうる。製品リリースの3ヶ月後にいじることで凄く良い結果をもたらすというのも時にはあるが、更に6ヶ月(あるいはそれ以上)たってからいじるとなると、製品はごちゃごちゃと複雑に入り組んだゴミの山に成り果てる。

"Chinese Democracy" が良い例だ。アクセル・ローズが10年以上にわたり、少なくとも3つのスタジオと4人のプロデューサを注ぎ込んだガンズ・アンド・ローゼズのアルバムだ。これ以上時間をかけても良くはならないというのはみんなわかっていた。実際、音楽業界では良くネタにされた。いつまでもおもちゃを手放そうとしない仕切りたがり屋のガキが砂遊びをするにはうってつけだった、というだけのことなのだ。

一方でフランク・シナトラは「一発録り」で知られている。スタジオに入り、フルバンドをバックに生で歌い、歌い終えると踵を返して出て行く。クインシー・ジョーンズが以前、シナトラをプロデュースし、アルバムのレコーディングについて書き綴っている
彼は午後2時にやって来たんだが、リハーサルは2時間もかからなかったよ、キーや演出を変えて10曲ぶんもあるというのにね...フランクは1テイクだけ、それでオシマイ。バンドがまだ仕上っていなかった時、彼はバンドを放置して出て行ったよ...彼は7時に戻って来て、なんとアンタ、8時20分にはみんな家路についたんだ。製作に3ヶ月も掛けるなんて無意味なんだよ。
U2のボノも昔からシナトラのそんな姿勢を尊敬している
勝負は一瞬で決まるということ、キャンバスはまっさらだということ、手を加えすぎないこと、これが本質なんだよ。アルバムを作るのに私とバンド連中が費やす時間について、シナトラだったらどう思うだろうかと考えるよ、ディレクターやプロデューサーに対して、まぁ実際は誰に対してであろうとそうだったんだけど、シナトラは気が短くて良く口論していたというのはみんなよく知っているからね。私は彼のやり方は正しいと確信してる。収録の一瞬に全てを注ぎ込む事で、レコードは永遠のものになるんだ。
シナトラの一発録りというスタイルが、今や古典とも言うべき作品群を産み出した。アクセルの優柔不断はゴミの山を産み出した。この点に、我々が学び取れる何かがある。意味の無い粗捜しという罠にはまるのは容易い。そんなことをするかわりに、今やっている事の本質に焦点を絞ることだ。収録し、けりを付け、発表することだ。(作っているものが、リリース後にさらなる改善作業を要するようなものである場合、今述べたような事は一層真実味をおびてくる)

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