2009年11月12日木曜日

[37signals] Chipotle や Pinkberry といった会社が「的を絞る」ことで大成功を収めたワケ

(原文: How Chipotle, Pinkberry, and others win big by doing just a few things well

シンプル性というやつには「簡単そうで実は難しい」という隠し事がある。たいがいの人が複雑怪奇な製品を作り出してしまう原因はここにある。大多数の企業に欠けている深慮遠謀・規律・忍耐といったものが、シンプル性の実現においては求められる。諸君が付け入る隙はここにある。競合他社よりシンプル性において勝ることが、多くの顧客を勝ち取る事になる。

Chipotle のメニューにはブリトー・タコス・サラダという、たった3つの主要品目しか載っていない。Chipotle’s Secret Salsa という記事で、創業者兼CEOの Steve Ells 氏は「的を絞り、他の誰よりもそれをうまくこなす」 というひとことで Chipotle のビジネスモデルを要約している。

Chipotle のメニューにはデザートが見当たらない。レストラン経営アナリストは、クッキー等のデザートを食後に出せばすぐに売り上げが10%以上のびるのに、と言っている。でも Ells 氏は歯牙にかけない。「ウチはこの10年、連続して二桁台の成長を遂げている、クッキーなしでね」と彼は言う。「なんで今更? クッキーをメニューに追加することで生じるマイナス面しか思い付かないんですけどね」

ヨーグルトのチェーン店である Pinkberry は、オリジナルとグリーンティーという、たった2つのフレーバーだけで商売を始めた。これには、商品の種類を多くする事で在庫表・製造機器・レシピといったものがややこしくなってしまうのは避けたい、という意味合いがあった。同社は今や何ダースものチェーン店と、同社のヨーグルトを "Crackberry"(訳注: crack すなわち麻薬のように中毒性があるという褒め言葉)と呼ぶ熱烈なファンを抱えている(自分の製品名の頭にcrackを付けるとどんな感じがするか、ってことを考えた事ある?)

こういった話はレストランだけにあてはまるわけではない。Nintendo は他社よりもスペックを絞り込むことで大成功を収めた。Flip(訳注: Flip Video 社機能を絞り込むことで家庭用ビデオカメラ市場において大きなシェアを得た。固定ギアの自転車(訳注: ピストバイクとも呼ばれる。ニューヨークのメッセンジャー達がノーブレーキのトラックレーサーを使い始めたのが皮切り。ストリートカルチャーの一環として日本でも2000年代半ばあたりから見かけるようになった)も、そのシンプルでメンテナンスが容易なデザインにより人気を上げてきている。

諸君が、ありとあらゆるものを顧客に提供するという「機能てんこもり競争」に手を出すことは、確かに不可能なことではない。それが嫌なら、少数の事に的を絞り、それを上手くやってのけ、諸君のそういった姿勢を心から愛しその結果諸君の製品に愛着を持ってくれるような顧客を獲得する事だ。小規模事業者にとっては、これが賢明な道というものだ。

この道を選ぶことで諸君は明解さというものを手にする事になる。万事がシンプルになる。製品説明も、人々に製品を理解してもらうのもシンプルな言葉で済む。変更を加える際も、メンテナンスをする際も。人々が製品を利用し始める場合もシンプルで面倒が無い。原材料・包装・サポート・マニュアルもシンプルになる。見積もりもだ。そして最も重要なこととして、成功への道がシンプルになるのだ。


訳者コメント:
Crackberry って‥‥ブラックカレーみたいなもんか?

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