2010年2月2日火曜日

[Apple] iPad が書籍を越えるのはいつか?

もちろん電子書籍リーダがすぐに代替品として役割を果たしうる分野はある。重たい辞書や山ほどの教科書を置き換えるものとして、というのがそれにあたる。だが、現行の紙媒体にはまだまだアドバンテージが有る。
  • 文庫本なんかは、そのモビリティの高さ・UI 完成度の高さ・解像度の高さ・消費電力の低さ等から言って、ほぼ最強である。少なくとも解像度で言えば、とりあえず一般的なカラー印刷品質であれば 350dpi は必要なわけで、iPad の 132dpi 程度では話にならない。
  • 書き込みが出来ないうちは「自分の本」とは言えない。書き込み(マーキング)とは、コンテンツに対する個々人のコンテキスト付与であり、その名の通り「匂い付け」であり、それが出来ないうちは自分の本と呼ぶに値しない。
前者については機器スペックの向上によりカバー出来る部分が多いが、後者については読書という行為の根本に関わることであり、ビジネスチャンスはここにこそある。書き込みには豊富で多様なメタデータが含まれているからだ。コンテンツビジネスを越えてコンテキストビジネスを産むチャンスなのだ。ディスプレイ(出力デバイス)としての書籍だけでなく、入力デバイス、つまり注釈やツッコミを入れる等のインタラクションをするためのデバイスとしての書籍に思い至らない限り、電子書籍は紙媒体の壁を越えられないのだろう。

ということで今回の iPad に関しては、Audio/Video 視聴におけるテキスト・ビジュアル要素(CDのオペラ対訳なんかにはぴったりだ)に関する UX 改善をメインとして直近のネタを消化しつつ、次世代書籍への踏み台として、本体だけでなくサーバサイドも含めた新たな読書 UX というものを考えていく素材としたい。やっとハイパーテキスト環境の本命が出てきた感じで、オラわくわくしてきたぞw

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