2010年2月9日火曜日

[37signals] App Store: クオリティ不在のクオリティ管理

(原文: The App Store: Quality control without the quality

私は iPhone が好きだし Apple も好きだ(はい、ここで国旗の襟章の画像と「オラはオラの国を愛してるだァ」のセリフを入れてね)。だが私は、彼らが App Store への入り口をガチガチに固めることで私のそんな気持ちを台無しにしてしまっていると確信している。もちろんこういった意見は昔からあった。開発者達はあちらこちらで App Store 認証プロセスの破綻について公然と非難の声をあげてきた。しかし世間は、彼らのそんな主張を我が身の事として感じることなど無いのだろう。

我々は Campfire の舞台脇にいくつかの新しいフィーチャーを準備した。準備完了してからもう10日以上経った。何故まだリリースしていないのかって? 理由は、iPhone アプリの Ember が我々の新しいフィーチャーをサポートするには正規表現に関するちょっとしたアップデートが必要だからなのだ。我々は心底 Ember が気に入ってるので、この新フィーチャーは上に述べた型通りのアップデートが済むまでは温存するのが分別と言うものだと判断した。未だにそれを待ち続けている。

というわけで、私は App Store の認証プロセスのやり方は全般的にダメダメだし、その見返りはあまりにも少ないと考えるに至った。こんなひどい認証プロセスに何の価値があるのか知りたくて議論に耳を傾けたところ、それはクオリティ管理のためなのだということだった。以下に列挙したのは議論の内容の内訳である:
  • アプリケーションがより安定したものになる: んなわけねぇだろ。私の場合、Echophone はいまだに使う度にクラッシュするぞ。iPhone はクラッシュバグに対する免疫があるというという世評にはふさわしくない話だ。で、どうすんだ? Objective-Cでネィティブアプリを書いてるんだろ。このクソアプリはいつもクラッシュしちまうんだぜ。App Store の店員に10分ほど調べてもらったけど屁のツッパリにもならんかった。
  • App Store にマルウェアが入り込まないようにする: 何の根拠もねぇよ。もし諸君が本気で悪を行わんと欲するならば、見た目の可愛らしいアプリの表面下にうまいこと悪意を隠し、時限爆弾式や遠隔操作式のトリガーを仕込むことだって出来るんだぜ。セキュリティに問題が無いかどうか調べるために App Store の店員がソースを虱潰しに調べるとでも? うはwおkwwww
  • App Store に良いアプリだけが並ぶようになる: ワロスw。App Store には14万本を越えるアプリがあるけど、大半は水準以下のシロモノだ。保証するw。何百もの屁のようなアプリが並んだ日にゃ、もうね、頼むでホンマ。
クオリティ向上に何ら寄与していない現状のクオリティ管理方式がもたらす不便に我々は金を注ぎ込んでいる。実際のところ、App Store のせいで多くのアプリのクオリティが低いものになってしまっている。開発者はおちおちバグ修正も出来ないし、修正版をひんぱんにリリースすることも出来なくなってしまっている。この現状は、CD でソフトを売っていたが故に頻繁にアップデートが出来なかった、あの面倒極まりなかった時代を思い起こさせる。

この現状を OS X や web と比較してみよう。両者ともに、はるかにオープンなプラットフォームであり、Mac においては、安定性・マルウェア・そしてクオリティにおいてすら、問題は極めて少ない。一般的に、市場と言うものはこういった物事を選別することに長けている。もし諸君がゴミアプリを作ったとしても、人々は買わないし他人に薦めもしない。そして OS X は、例の Windows とやらに比べてよりセキュアなプラットフォームとして品質を保っているので、マルウェアの心配もさほど無い。

今のやり方に替えて Apple が為すべきことは、明らかに問題があるアプリを根絶やしにすることだと私は思う。「貧弱なアプリ・遅いアプリ・まだ未完成のアプリ、全部レビューしまっせ」というポリシーより「もし問題を起こしやがったらしょっ引くぞ」というポリシーを持つべきなのだ。こうすることで、App Store スタッフの数はかなり少なくて済むようになるし、開発者は無意味な審査に煩わされることが無くなってウハウハだし、お客さんはアプリケーションの修正・改善が頻繁に行われるようになって嬉しく思うだろう。

問題のあるアプリを野放しにすることで得られるものなんて、思い上がりも甚だしい全能感以外に無いと思うんだが?


訳者コメント:
DHH はこのすぐ後の記事で App Store の現状を一目瞭然に示してくれています。こりゃいかんでしょw。私も去年の9月にこんなエントリを上げておりますので、我が意を得たりとほくほくしております。

“I love muh countray!”はタイポかなと思ったんですが、 FOX あたりの番組でこんな訛ったしゃべりをするキャラが居るんですかね。powah とか言ってるしw

4 件のコメント:

  1. 「小さなチーム、大きな仕事」に、本ブログの記事が
    そのまま載っていましたw。関係者ですか?

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  2. あらま、わざわざありがとうございます。私は現在どこの関係者でも無い状態でして、カッコよく言えばサバティカル、世間一般的にはプータローというやつです。

    もしよろしければURLを教えていただけませんか? 訴えてやるwとかそういうのじゃなく「物好きな人もいるもんだね」とニヤニヤしたいだけなんでよろしくお願いいたします。

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  3. げげ、もしかして本にそのまま載ってるんすか? パクリってやつですか? それはちょっとヤですねー。パクリは駄目ってJason Friedも言ってるのにw

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  4. ひどいじゃないっすか匿名さん〜、パクリなんて全然なかったっすよ!どうしてくれるんすか〜w

    とはいえ匿名さんがコメントしてくれていなかったら「Webで読んでますから紙の本はいいっす」とかぬかしてこの本を手にすることも無かったわけでして、やっぱりお礼を言わなきゃならないですね。

    ハッ!もしかして匿名さんって早川さんの回し者っすか?

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