2009年12月9日水曜日

[37signals] これは問題だと認めることから始めよう

(原文: Step one is admitting you have a problem

スタートアップ企業の世界は仕事中毒な人々で満ちている。仕事中毒は、友達がいなくなったり人間関係が悪化したり体調不良になったりといった、諸君の利益を損なう結果をしばしば代償としてもたらす。仕事にうちこんで来月の売上高を過去最高にすることしか頭の中に無い。来月の取引・中間目標達成・資本金の調達のことしか頭に無いのだ。

もし諸君がコカイン中毒やアルコール中毒にも似たこの仕事中毒に罹患しているのであれば、本来ならば周りの人々は諸君を病気とみなし医者に相談することを薦めるというのが普通だろう。しかしスタートアップの世界においては、仕事中毒は多くの人々によって賞賛されている。人生の瑣事を放棄してロイヤルストレートフラッシュをものにするチャンスに全てを賭けたヒーローという扱いになるのだ。

さらにまずいのは仕事中毒患者の大半が、1日に14時間以上がりがりと仕事をすると言うのが実はさほど効率的なやり方ではない、ということを頭の中では理解しているという点にある。時間をかければかけるほど良い仕事が出来るということにはならないのだ。Jason CohenはこのことをSacrifice your health for your startup(スタートアップをやるなら健康を犠牲にしろ)という記事で説いている。彼は、睡眠を削って仕事をしても何の助けにもならないということは重々承知の上で、睡眠不足こそは仕事中毒患者にとっての名誉勲章なのだと考えている。残業時間がそのまま製品のクォリティに反映されるなんてことはおそらく無いにせよ、残業もしないようじゃ話にならない、とも。

彼は理屈を述べるにとどまらず、仕事中毒を地で行っている。「お前に必要なのは山ほどの肩書きなんだろ、それなら仕事以外には目もくれるな。何故取り憑かれたように仕事にのめりこむ必要があるのかといえば、金銭面における自由という涅槃の境地は、本当にハイになれる数少ないもののうちの一つだからなんだ」という彼の生き方を正当化してくれるものを探し出すことに必死になっている。

仕事中毒と言うのはコカイン中毒に比べれば少しはマシだが、コカイン中毒と同様な悪弊と現実逃避へとつながる。さらに重要なのは、仕事中毒は成功を収めるために必要なものなんかでは無いということだ。スタートアップ企業をやっていくにあたって、仕事中毒になる必要などない。情熱を持ち、仕事に取り憑かれるのは結構だが、人生を浪費する言い訳にはしないことだ。

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