正直言って新規的要素は全くなく、マーケティング要素しか見当たりません。
「Webアプリケーションフレームワーク・関係代数の黄昏・分散オブジェクトの最終進化形といった既に公表済みの要素技術群をパッケージングし、それに『OS』という人口に膾炙した名前を付けてプレゼンを行いました」といったところでしょうか。
これを見てパラダイムシフトとか言ってる人は「OS Doesn't Matter」というか「OSなんてとっくの昔にコモディティ化してる」という事実に気付いてないのでしょうか。だいいちクラウドOSなるものが直接ハードウェアアクセスを行うわけなどなく、その下位にはこれまでと同様のクラシカルなOSカーネル(そういやgOSなんてのもありましたな)が存在するわけでしてね。
まぁ、経営・コンサル寄りの方々からすれば「主戦場はクラウドへ」といった感じの美味しいバズワードが振りかざせる訳で、その気持ちもわからんわけではないんですが、実装・アーキテクチャ寄りのedgyな方々からすれば相変わらず単なるフレームワーク取捨選択の問題でしかないわけで「何も変わってねーよ。それよりErlangやろうぜErlang」といった感じなのではないでしょうか。
Googleの先走り汁であるところのGearsもClient-side Storageという観点からすればlocalStorage/sessionStorageへと収束しそうですし、見た目(aesthetic)についてもcanvas,audio/videoタグがGeckoを始めとする先進的エンジンに着々と取り込まれつつある現状を見るに、少なくともクライアント側についてはこれまで同様の「HTML5への流れ」でしかないわけで「大勢に変化無し」ということでよろしいのではないでしょうか。
いつの時代にも存在するパフォーマンスや実行セキュリティといった問題についてGoogleがどう手を打つかという技術的興味はありますが、そういった定量的側面については、V8などを例に挙げるまでもなく、ただ粛々と事を進めて下さるものと存じます。
それにしても「UbiquityこそOSだ」という指摘が皆無なように見受けられるのはまことに遺憾であります。operationの現場をWebレイヤに引き上げ、CUIという実にOS然としたかたちで示しているというのに。
ということでChrome OS単体ではさほど興味をひかなかったのですが、タイミング的に重なったことでちょっと状況を面白くしてくれたものがあります。Amazonがモバイル環境でのAPI利用制限を開始した事と、これに関するマッチポンプ的施策のことです。これには「そこまでやるか」感と「普通そうくるわな」感が同時に胸中に湧き、まことに興味深い物がありました。
こういった各社の動向を見るに、どうやら垂直統合への流れは変えようも無く、Webにおけるブロック経済圏成立が目の前に迫っているようです。私見といたしましては
- こういったブロックはプロダクトレイヤ(インフラとプラットフォーム)でのみ見られ、ユーザが直接触れるサービスレイヤでは、サービスの相互接続性確保により、ブロック経済化による影響は出ない(プロダクトとサービスがそう綺麗に分けられるのか?という疑問は置いといて)
- Webにおける関税障壁とでもいうべき『何か』が発生する
レッドオーシャン上等な勇者の皆様方におかれましてはどちらに転んでも関係無いっすね。御武運を。私はヘタレなので、ちまちまやらせてもらいますわw
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