『よみきりもの 第8巻』のなかがき(p. 152)で示されているように、ちまりと匠太郎は同じ魔法世界に属している。同ページの「設定が同じなだけで、登場人物はかぶったりしてません」という記述や、匠太郎の世界がノームやドラゴンが当たり前のように存在する世界であるのに対しちまりの世界はそうではないという点から見て「共通の魔法体系を持った2つのパラレルワールド」と見るのが妥当かと思われる。
この魔法世界における魔法は月の魔法と星の魔法の2つであり、ちまりは月の魔法、匠太郎は星の魔法という分類になっている。『ちまりまわるつ』所収『3/4くるく ちまりまわるつ』の p. 12 [ミッシイコミックスDX] では、この月と星の2分類とそれぞれの等級をあらわすシンボルステッキが示されている。匠太郎はこのページで示されているトゥインクルスター級(最高位のひとつ手前)シンボルステッキの保持者であることが『よみきりもの 第8巻』所収『こげたトンネル事件』の p. 116 で示されている。
『ちまりまわるつ』所収『ちまちまじっく』第1話、及び『きいちご魔法店へようこそ』で出現する「きいちご魔法店」の看板(p. 41 及び p. 86 [ミッシイコミックスDX] )にみられる「マハリク教会派」という記述から「マハリク教会派=月の魔法」という分類を行う事は当初から可能だったのだが「それなら星の魔法はなに派?」といった点も含め、この分類の妥当性はいわゆる『出し直し版ちまりまわるつ』[朝日ソノラマ]の出現まで疑問符が付いたままであった。
同書で追加されたなかがき(p.123)では星の魔法と月の魔法に関し「基礎を覚えたあとは、どちらかに進みます。適性がどうとかじゃなくて流派みたいなもの」という明確な記述が行われており、マハリク教会派と対を為す組合教会派の存在と、さふらんかえでが組合教会派に属する事が併せて示されている。これにより「マハリク教会派=月の魔法」「組合教会派=星の魔法」という分類の妥当性はほぼ確立された。
匠太郎が組合教会派に属するという明確な記述は今のところ無いし、『ちまりまわるつ』の外伝的存在である『世の中なまほう』でも、ちまりはまだ3級(かえではおそらく2級)であり未だ上級シンボルステッキを持つに至っていないので、今後のエピソード展開によりこの星と月の2分類に関する詳細が明らかになってくるであろう。
なお、星の魔法の最高位がゴールドサンであることからみて、この分類は月と太陽すなわち我々の世界における陰陽という観点から捉えることも可能であるという点は興味深い。
ふわふわエレンことエレン・オーレウスは、流石に不老不死を得た伝説の魔法使いだけあって、こういった魔法分類の範疇から逸脱した別格の存在であるように見える。
シンボルステッキや『MAGIxES』における魔法道具のような触媒的物質なしに魔法を発動するその能力は、ちまりと匠太郎の魔法世界や『MAGIxES』の魔法世界に見られる「工業化・コモディティ化した魔法」とは異なる「プリミティブな魔法」を色濃く反映している。
この点において、エレンの世界は我々の世界だと言う事が出来る。つまり魔法がファンタジーたりえる世界である。
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