2009年1月6日火曜日

[メモ] 恵山のこと

折口信夫『折口といふ名字』に、金田一京助のアイヌ語に関する記述が引用されていた。
るゑさん (ruwessan, ru-essan)  道の出口(浜の大道へ出る口)の事なり。下り口の義なり。ruは道にて、essanのeは接頭語、sanは出る意味なり。要するに、後方の高い処より、前方(浜)の低い方への運動なり(雑誌あらゝぎ大正七年六月号)
これを見て恵山のことを思い出した。恵山はessanすなわち出口を意味するアイヌ語だったのかもしれないと思ったのだ。何の出口かというと、渡島半島の南東突き当たりで、ここから先は津軽海峡というその地理的状況が示す通り、海への出口といったところだろうと思ったのだ。そこで、情報を得る為に恵山のホームページを見てみたところ
恵山は「火を吹き溶岩が流れ落ちる」という意味のアイヌ語「イエサン」
との記述があった。イエサンは恵山を示す固有名詞ではなく動詞もしくは形容詞であるということらしい。それにしてもイエサンの一語で、えらく豪快な形容をしてみせたものだ。ヌイ(炎)のエサン(出口)つまり火口が転訛したのかもと妄想したり、楽しみは尽きない。

併せて思い出したのがガンコウランのこと。恵山のツツジは前掲のホームページにも見られる通り、かなりポピュラーになっているようだが同じツツジ目のガンコウランについては言及が無かった。遠足の折などに摘んで食べた記憶、袋一杯に摘んだものを母が煮てジャムにした記憶、そのジャムがいちごやりんごと違いさらさらなままだった記憶。花よりも食い気の方が餓鬼の時分には重要だったようで、ツツジの花の記憶よりもそういった記憶の方が鮮明だ。その記憶の中のガンコウランの味が、決して美味とはいえないものだったとしても。

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