2008年11月30日日曜日

[一言居士] やめとけ。諸君のやろうとしているのは漢字の再発明だ。

元ネタ: Google Japan Blog: 絵文字のユニコード符号化: 符号化提案用のオープンソースデータ

一言で言うと「つまんねぇことすんな」

理由はとりあえず4点

(1)標準化など不要だから

標準化というものを全否定するつもりはない。アドホックな標準化作業の積み重ねでしか達成し得ない事もあるというのは理解している。だが「どっからどうみても売れそうに無い製品を作らなければならなくなったエンジニアの悲哀」と同じ臭いを、俺はUnicodeに感じている。UTF8などの成果物を常用しつつも、その根底にあるのがいかにも中途半端なコード表でしかないということを意識してしまうと慄然とせざるをえないのだ。

そもそもUnicodeコンソーシアムに何かを期待する方が間違っているのかもしれない。「全ての文字をコード表にマッピングすりゃいいんだろ」という安易な発想が根底にある以上、見込める成果など知れたものなのだから。そんな姿勢はサロゲートペアという、目的と手段が完全にひっくりかえった醜悪な実装にもよく現れている。

本当に必要なものであれば、ユーザは自ら発明し利用し広める。標準化機構の出る幕など無い。というか、標準化機構の仕事って「ユーザの足を引っ張ること」になっちゃってねぇか?

(2)標準化など不可能だから


絵文字の表現力は「笑アイコン」ひとつ取ってもそれが「莞爾」なのか「冷笑」なのか「微笑」なのか「嘲笑」なのかわからないお粗末なものだ。これらひとつひとつについてアイコンを一個一個定義していくのか? 漢字が、少なく見積もっても三千年かかってやってきたことを一からやり直すのか? 正気の沙汰じゃねぇ。

「いやいや、その数を限定するのが今回の目的なんだよ」というのが本件の主眼であることは理解している。何を取り込み何を切るかについて、何らかの権威のもとで定義しておこうというわけだ。

よろしい。あえて挫折を繰り返すというのだね。所詮完璧なものなどできないのだから目先の事だけでも片付けようと言うのだね。私は手を動かす事それ自体には何の価値もないという考えの持ち主だが、諸君がやるというならば、その意志は尊重されねばならぬ。

だがそれでもなお問わずにはいられないのだ。その先にはさらに苦しい道のりが待っているということを理解した上で言ってますか? と。

なぜなら、絵文字・アイコン、というかその本来の姿である「イコン」というものは、それに関する十分なコンテキストが提供されていなければユーザ間のコミュニケーションに利用出来ないものだからだ。リテラルコミュケーションですらそういったコンテキストは不足しがちなのに、全く新しい記号体系に関してそれを提供する覚悟はおありですか?

あぁ、そういったアイコンとコンテキストのペアは既にユーザによってネット上に日々アップされてるから不要だと申されるのですね。じゃ、君達いらないじゃんw。おっと、このwもemoticonだったね。失敬失敬。

(3)絵文字自体の重要度が低いから

上でも述べたように、本件はまさに「漢字の再発明」であり「もっと他にやることあるだろう」と言わずにはいられない。自然言語処理、コーパス利用条件の緩和などいくらでもやるべきことはあるはずなのに。

なぜ絵文字のユニコード符号化などというしょうもないことにGoogle(もしかしたらGoogle Japanだけ?)が血道をあげるのか不思議でならない。おおかた「他がやってるからウチも」というレベルなんだろう。頭の悪い営業戦略を見ているようで笑える。

まぁそこは世界のGoogleということで「心配すんな。今回はうるせーやつがいたからちゃっちゃと片付けただけなんだよ。本道もきちんとやってるぜ。そのうち見せてやるから楽しみにしてな」という頼もしい声明が出てくる事を期待している。

余談だがDave Winerの記事に絵文字が出てきた時には茶ぁ噴いた。やっぱりこのおっさん、本当は何もわかってないんじゃなかろうか?

(4)日本人の、つまり日本語のためにならないから

ネガティブと呼ばれるのは百も承知の上で言う。

本件について「日本発の文化が世界に!」とか言ってる連中は全然ダメだ。この程度のことを日本の文化と呼ぶようではご先祖様が泣く。日本の文化、そしてその精華でありプラットフォームである日本語を築くために死闘をくりひろげた先人達がうかばれない。

「ことのは」「ことだま」をないがしろにしておきながら、こんな出来損ないを世界に輸出するというのは日本の・日本人の・そしてなによりも日本語の未来のためにならない。実際、BUKKAKEとかHENTAIとかと同じくらい恥ずかしいレベルだぜ、こいつはよ。

ちなみに本件は、先日の日本人ノーベル賞受賞者濫発と同じ臭いがする。日本人もなめられたものだ。まぁ仕方ないか。それこそUnicodeというお仕着せのアーキテクチャの上でしかその存在が認められていないんだからな。

いい加減なんとかしようや。

2008年11月28日金曜日

[Steely Dan] Black Friday and Bad Sneakers

Black Friday
ブラックフライデーになったら
ドアのそばに立ってやる
受け止めてやるんだ
灰色の男が14階から飛び降りるのを

ブラックフライデーになったら
貸した金の全てを取り立ててやる
通りに出てやるんだ
やつらが俺の来た事に気付く前に

ブラックフライデーが来た日にゃ
そういうことになるんだよ
くわばらくわばら

ブラックフライデーになったら
マスウェルブルック峡谷に行って飛び降りてやる
地べたにでかく真っ赤な字で殴り書きしてやるんだ
俺というちっぽけな黒い本の中の単語全てを

心を満たしてくれる事以外には何もしない
靴下も靴も要らない
することといえば
国中のカンガルーに餌をやることだけ

ブラックフライデーになったら
俺はあの丘の上に立ってやる
そういうことさ

ブラックフライデーになったら
自分を埋める穴を掘ってやる
心行くまで居てやるんだ
そこに身を横たえて

弔問客なんざ無視してやる
大司教様は清めの儀式を行う
もし彼が俺の意図を理解しなかったとしたら
その時は放っておくさ

ブラックフライデーになったら
俺は求め訴えてやる
名前を変えてやるんだ

Bad Sneakers
5つあるんだ
耳にするのが我慢ならない名前が
その中には君と俺の名前が
そしてもうひとつ、どっかにいるエテ公の名前が

奥様方が話してる
酷い時代ですわねぇとか
あのおぞましき出土品のことを
マグノリア大通りで

***
まったく、頭がおかしくなりそうだぜ
凍てつく雨を嘲笑い
孤独に苛まれる
ねぇハニー、あいつらいつになったら俺をうちに帰してくれるんだろう

ぼろぼろのスニーカーと
一杯のピナ・コラダだけが俺の友達
のし歩くのさ
電気屋のある通りを
トランジスタラジオを手に
どか買いする金をたんまり懐に入れて

おまえは通りを駆け上がる
あの白いタキシードを着て
息急き切らせて

俺をアホだとでも思ってるんだろう
俺が知らないとでも思ってるのか
谷にあるあの溝は
この俺を埋めるためのものだって事を

***


訳者コメント:
どうやらRed Fridayになりそうな今日この頃、どう見てもワンセットな、このKaty Liedの冒頭2曲を訳さずにはいられなかった。

もう15年近く前、まさにBad Sneakersな私がいた。
クソ遅ぇ98と
symdebだけが俺の友達
のし歩くのさ
ポン橋を
エロゲを手に
トレカをボックス買いする金をたんまり懐に入れて
火の消えたsorcerを捨ててsymdebだけでビットのダンジョンをうろつき、exezipを解き、展開ルーチンをファイルにダンプし、画像ローダからルーチンをcallする。私の86アセンブラの知識はこうして身に付けたのだった。

FirebugとXPath Checkerを友にWebのダンジョンをうろつく今の私にとって、当時得た知識はもはや化石でしかない。それでも、あの時と同じときめきが今の私を支えているのだ。

与太話はさておき、いまだに判明していない点がいくつか。普通Radio CityといえばNYのRadio City Music Hallのことだろうが、私にはどうしても片田舎にある電気屋、それも当時人気のあったアマチュア無線関連の品揃えが充実した電気屋が思い起こされるのだ。そうそう、いかにもこんな感じの。

他にも「出土品とは具体的に何?」とか「名前を変えるって何?生まれ変わって洗礼名を変えるとかですか?」とか「Bad Sneakersは人間としての自分と犬としての自分がオーバーラップしているように見えませんか?」とか、いろいろあるんですが、このあたりの内情をご存知の方は是非教えていただきたく、よろしくお願いいたします。

2008年11月27日木曜日

[Dave Winer] 汝罪人らよ、悔い改めよ!


(原文: Repent ye sinners!

経済崩壊の原因は、今まさに崩壊のさなかにある銀行の全てが置かれている New York という都市にある。馬鹿げているというのは百も承知だが、市が野球場を取り壊した時に、これから起こるのは悪い事以外の何ものでもないということを確信したのだ。例としてシアトルのキングドームを見よ。もはや何も言うまい。これの意味するところは明白である。

さて、今年ニューヨーク市は2つのスタジアムを取り壊した。2つもだ! 共に大いなる歴史的価値を持つものだ。ああ、確かにそのうちのひとつはもうひとつに比べればそれほど歴史的価値はないと思われているんだろう。しかしだ、ヤンキー・スタジアムではもう何年にもわたって、わくわくするゲームは数える程しか無かったのに対し、シェイ・スタジアム、あの60年代、お荷物球団と呼ばれた不遇の時代にメッツがプレーし1969年のメッツの奇跡でワールドチャンピオンの栄光を手に入れた地であるシェイ・スタジアムの歴史はかけがえのないものなのだ。Mookie Wilson と1986年度のメッツの選手達がワールドシリーズでBill Buckner(訳注: 第6戦で痛恨のトンネルをした)のレッドソックスを破ったスタジアムなのだ。

寒い時代だと思わんか?

証拠を見せろと言うのなら、議論の余地のない証拠がある。取り壊しの後に新しく出来るスタジアムの名前を見よ。

そうなのだ。Citi Fieldなのだ。ひどい話だ。

神は神秘にして確固たるすべもてわれらにつげたまふ

汝罪人らよ、悔い改めよ!



訳者コメント: 阪神優勝のもたらす経済効果といったような側面とはまた違った切り口であり、面白いっちゃ面白いのですが、それにしてもトンデモのそしりは免れますまい。床屋論議が世界に響きわたるというのがブロゴスフィアのいいところだとは思いますが。

[37signals] 「37signalsの主成分はLotusとiPhoneとDisneyで出来ています」

(原文: "37signals is the (Lotus, iPhone, Disney) of software"

先日「20秒以内で37signalsについて述べよ」にてみなさんにコメントを求めました。いただいたコメントを要約すると以下のようになります:

多くの人がアナロジー(〜に似ている)のかたちで返答してくれました。そんな「37signalsは〜に似ている」パターンの幾つかを以下に示しますと...

「コンピュータにOutlookをインストールしなくてもGMailを使えばメールが出来るというのと同じで、あなたが小規模ビジネス運営のために私たちの製品を利用する場合、コンピュータに何もインストールしなくても利用出来る」

「もしSteve Jobsがオンラインアプリケーション市場にいたとしたら、彼の会社は37signalsになるだろう」

「宙に浮かぶ巨大なシステム手帳だ」

「私たちはビジネスソフトウェア業界におけるLotus(車の方の)です。私達はビジネスの現場で求められている、無駄の無いコンパクトなソリューションを構築しています。まさにLotusがそうしているように、私たちはあなたの求めるもののみに注力し、あなたにとって不要なガラクタはすべて投げ捨てることにしています。」

「GoogleやAmazonやeBayといったような、Webベースの製品を作っています。私たちはとりわけプロジェクト運営・TODOリスト・ドキュメント共有・共同作業といったものを管理するためのツールに焦点を絞っており、多くの人々およびビジネス現場が必要としているシンプルなものを提供しています。37signalsにとって重要な事はシンプルであるという事。すばやく起動し、実行し、成果を出す事です。」

「iPhoneを知ってる?すごくエレガントで実用的でしかも使ってて楽しいということで注目を集めてる。仕事で使ってるソフトもこんな感じだったらなぁと考えてごらん。ほら、プロジェクト管理ツールとか組織運営ツールとかのことさ。ごちゃごちゃしていないメニュー、より良い成果、使ってて楽しい。私たちの作っているのはそんな感じの、Web上で動作するソフトなんだ」

「我々はソフトウェア業界におけるDisneyである」
辛辣なもの(訳注: というか機知に富んだもの?)も多かったです
「俺たちは『管理なんかくそくらえ』という感じの管理ソフトを作ってる」

「37signalsは人々のほにゃららを統合管理するお手伝いをしています」
(訳注: $#!+(ほにゃらら)とはshitとかfuckのこと?)

「我々はITからshを取っている」
(訳注: shit(クソ)からshすなわちシェル・殻を取ると中味のITが出てくるという洒落か?)

「37signalsは日々のコミュニケーションから『不要なもの』を除去して真のコミュニケーションが出来るようにするための製品を作っている」

「正しいプロジェクト管理
誰でも使えるイントラネット
使い物になるメッセージングツール
人々の動向を追う(訳注: n'utherというのはアーサーの父ウーサーに関する言い回し?)
現実に即したシンプルさ」
(訳注: 縦読みぽい。PIMPSとはポン引きのこと)
数は少ないものの簡潔な回答もいただき、共感すること頻りです
「我々は会議を不要のものとする」

「生き方そのもの」

「あなた方の製品は我々を時間の無駄をもたらすものから守り、目の前にある仕事に専念させてくれる」

「37signalsは人々に簡単な方法を以て大きなことを成せるよう手を差し伸べる素晴らしいソフトを作っている小さな会社だ」

「オンラインで利用出来る、TODOリスト・備忘録・日記・コンタクトリストといったものをひっくるめた統合ツールだ」

「より少ない時間で仕事を片付けるためのお手伝いをいたします」

「あなた方は情報および対人関係を組織化する手助けとなるWebソフトを書いている。あなた方のソフトは、紙を減らし、電話での応対を減らし、そして、これが一番大きいんだが、会議を減らしてくれた」
回答してくれた皆さんありがとう。思考のための糧をたくさんいただく事が出来ました。

2008年11月26日水曜日

[一言居士] ダメだこりゃ

元ネタ: 日本のケータイは本当にガラパゴス化なのか!?

いまだに高画質・ガジェット・機能と言ったものを競争ファクターとして臆面も無く挙げるあたり、なんかもう「ダメだこりゃ」としか言いようが無い。
すでに先人達は世界に戦いを挑みに海を渡っているのです。その当時世界は日本の進みすぎたシステムを受け入れることが出来なかったのではないでしょうか。文化は押し付けるものではありません。求められて広がっていくものです。
というくだりは至極ご尤もなのだが、ご尤もなだけで情報価値としてはゼロだ。「その当時求められていたものを日本のメーカーは見抜けなかった」と言った方が、薬効成分があるだけまだマシだ。

「お家芸復活」とか、いつまで右肩上がりのころの夢をみているのか。成功体験という害毒に侵された人の良い見本である。

「すでに優位性がなくなった」とぶっちゃけるあたりは正気を疑うしかなく、もし本気だとしたら職務放棄も甚だしい。こうした人物がご意見番になっているのが日本のモバイル業界なのだとしたら、これからもお先真っ暗ということで間違いない。

2008年11月24日月曜日

[一言居士] 末期的?

元ネタ: $500 million in advertising??? Did I use the Jump the Shark joke already?

Daring Fireball にて「Microsoft論壇も堕ちたもんだ」と John Gruber に言わしめたこの記事。たしかにこれはひどい。こういうのが出てくると「MS陣営必死だなw」としか思えなくなってくる。

コメント欄も見事な炎上ぶりで「林檎の旬は過ぎたってか? 寝言は寝て言えや、Paulさんよ」を始めとする微笑ましいコメントであふれている。顔を真っ赤にして殴られ続けている Mike と、殺る気満々の Lindy が互いに「かかってこんかい」と挑発するあたりは、もうたまりません。

2008年11月23日日曜日

[Dion Almaer] パワーユーザであるという事が糞いまいましくなる事が時々あるものなんだとiPhone 2.2で思った

(原文: Being a “power user” really sucks sometimes as iPhone 2.2 reminds me

君がたいていの場合は少数派に属するというのであれば、パワーユーザ(上級者)であるという事は糞いまいましい事だ。販促の人たちは釣鐘状曲線(訳注: ユーザスキルに関する正規分布曲線のことかと思われる)の中央に到達するとウハウハして喜び、一方、君はわずかな仲間たちとともに端っこの方で群れを作ることになる。

私に再びこんなことを思い起こさせたのは、iPhone 2.2 アップデートがこんなものをつきつけてきたからだ:




なるほどな、検索アイコンが画面右側でえらく表示スペースを食っているということを認識していないやつがいるということか。「ふつうの」ブラウザと同じように表示し、これでみんな理解してくれると踏んだのだろう。でも私はこう思ったのだ、再読込/読込中止アイコンの付いたURL欄が、私に取っては何の意味も無くそしてばかでかいだけの検索ボックスによってぶちこわしにされている、とね。

もし諸君がこの状態を元に戻せるならば問題ない。about:config は不要だ(訳注: Firefox では隠し設定を行うための about:config という URL があるが、そういったものは不要ということ)。しかし Apple は我々にそういったことをしてくれない。我々はジョブス教徒の社会に住んでおり、教祖の見るものと我々の見るものは一致している。今回のアップデートでもまだ改善されていないもう一つの不満点は...これは開発陣に対してずっと期待し続けてることなんだが、あの糞キャッシュをなんとかしてくれということだ。たのむから私のページを保持する程度の容量は割いてくれよ! 貧弱な回線を利用するモバイル版ブラウザでは何にも増して必要な事じゃないか。もっとがんがんキャッシュしてくれよ! JavaScript とスタイルシートもキャッシュしてくれよ! 百歩譲って、少なくとも「戻る」ボタンを押すとまた全部取得し直すまで待たされるというほとほと厄介な仕様はなんとかしてくれよ、頼むわマジで。なんで about:config でキャッシュ容量とキャッシュルールを設定出来ないんだよ? :(

こうした常識(訳注:変な常識)は Apple 製品のいたるところに見られる。Apple はしばしばこういった点に関して、技術者連中が一般ユーザでも手を出せる Apple prefs 画面からそういった設定項目を隠してしまうからなんだ、と言い逃れをする。UNIX ならばこういった点に関してはいくらか光明がある。開発陣は他にもいくつかの設定項目、J 氏が綿密に調べたユーザインタフェースには出ていなかった設定項目について、こっそりと我々に打ち明けることが出来るのだろう。

あーあ、やめたやめた。同じように感じた人はいないかな? Linuxを試してみる時が来たということなのかな? いやいや、私はそれほどトチ狂っちゃいないよ ;)

2008年11月22日土曜日

[一言居士] かわらぬもの

ネタ元: [CNET Japan] ITベンチャーの生きる道とは?

エリック松永氏、クロサカタツヤ氏は相変わらずのブレない姿勢が素晴らしく、西山圭氏の回答もとぼけた風味の中に皮肉が効いた逸品です。

で、その他ですが、とりあえず「不況下でよくがんばった!感動した!」という感じの間抜けな回答を寄せたパネリストは全員不合格というかマイナス点を付けてもいいでしょう。

不況下だからこそベンチャーでしょうが!

経済状況がどうであろうと、誰も知らない and/or 誰もやっていない仕事を創造するのがベンチャーでしょうが!

ベンチャーの生きる道というものは今も昔も変わらないはずでしょうが!

9月くらいまではベンチャーの特徴のひとつであるフットワークの良さとその重要性について喚き立てていた方々も、周りが不況不況と騒ぎだすとこういったところで馬脚を現すわけです。

一方 Jason Fried とその一味は「不景気?なにそれ?それっておいしいの?」とでも言わんばかりの相変わらずのベンチャーぶり。これじゃ勝てんわなw

[37signals] 「仕事してるふり」はやめよう

(原文: Stop pretending

開発を進めているふりをするという悪い習慣があることに最近気付いた。開発はもう数ヶ月にわたって続いており、悪癖に陥っていると気付くたびに断ち切ろうとしているにもかかわらず、断ち切るのは著しく困難だった。

私は社内のQueen Beeというアプリケーションを拡張する仕事を続けており、今回の課題は「より容易にJob(ある程度長期の仕事)掲示板とGig(短期単発の仕事)掲示板の実行状況をトレース(追跡調査)できるようにする」というものだった。変更自体は非常に単純なものだったのだが、実際にUI(ユーザインタフェース)を作る段階になるとハマってしまうのだ。

私はどうやら自分の尻尾を追いかけてぐるぐる回り続けていたようだ。他の製品向けに作った既存の通知用UIを眺め、これをJob/Gig掲示板の通知用UIへと適用するのに必要な変更点について考え始めた。私は今後のUI変更(実はこれは想像上のものでしかない)をサポートするために、プログラム内に潜在するリファクタリング(プログラムの内部構造を改善すること)要素についてまで考え込んでしまったようだ。リファクタリングについて考えるうちに、UIの見た目のインパクトにまでリファクタリングが及び、UIについてまた考えるという堂々巡りになった。うんざりした。

「現実的になれ」というメッセージをほぼ毎日、もう4年近くも吸収し続けているというのに、「真の解決方法は『くよくよと考え込むだけで仕事をしているようなふりをする』ことではなく『実際に手を動かして何かを作る』ことなのだ」ということを忘れてこんな罠にハマるとは皮肉なものだ。私の場合は「椅子に座り、ページのモックアップ(模型)を作り、でっちあげのデータを入れたHTMLファイルをいくつかテキトーに作り、どんな感じがするか眺めてみる」というやり方で解決した。これによりわかったのは、既存のUIやプログラムに手を入れようと考える必要などまるでなく、今回作るものが実は既存のUIとは全く別個のもので、いちから作るべきものなのだということだった。あぁ、なんたる苦々しき皮肉! もともと問題でもなんでもなかった事に丸2日近くの時間を無駄につぎ込んでしまったのだ。

そんなわけで、もし自分が心理ゲームにうつつを抜かしていると気付いたら直ちにやめ、実際に手を動かして何かを作ることだ。「仕事してるふり」というのは害毒だ。飲むなかれ。



訳者コメント: この記事は、同じくJamisが書いたこちらの記事と同様「思い込みという罠」についての警告がベースとしてある。Wikipediaの記述にも見られるように、マネジメントの世界で「ほにゃららcreep」は一般的なものらしい。「3大クリープ」とかあったりするのだろうか。

2008年11月21日金曜日

[37signals] 語源学ネタ:One について

(原文: Etymology: One

語源学に心魅かれている。つい最近 one の歴史的変遷に関する文献を読んだ。諸君は何故 one の発音が own と同韻になる「オウン」でなく「ワン」なのか不思議に思った事はないか? 私の読んだもの(あの素晴らしき online Etymology Dictionary も含む)によると、もともとは「オウン」だったようだ。じっさい only の発音に今でも残っているし、もとをたどれば同じ根に行き着く。この変遷は14世紀にイギリス南西部で始まったようで、18世紀に至って一般化した。

関連事項: "one night stand"(ひと夜限りの恋人)はもともと舞台演劇用語であるというのはご存知か? 性的な意味で用いられるようになったのは1960年代に入ってからだ。また"one-of-a-kind"(独特な、ユニークな)というのも同様に1960年代になって使われるようになった。一方、"one fell swoop"(一網打尽)の起源はシェークスピアの『マクベス』にまで遡る。



訳者コメント:

This is no one night stand. It's a real occasion. Close your eyes and you'll ...
...ばぁびろんしすたぁーず、しぇいぎっ!

最近の日本語であっても、ちょっと考えただけで「適当」「情けは人のためならず」「確信犯」といった、意味的変遷をみてとる事が出来る言葉がぽこぽこ出てくる。印欧語の語源学はこの記事に見られるように、音韻の変遷と意味の変遷に焦点をあてれば根っこが見えてくるようだが、日本語の場合は和漢のことや漢字の字形的変遷のこともあり、ひと筋縄では行かない。だが、それがいい。それを単なる煩雑と捉えるか豊穣と捉えるかで日本人の幸福度はずいぶん違ってくる。

景気後退などどこ吹く風とばかりにこういった「しょーもない」ネタをポンと出してくる37signalsが私は大好きだ。彼らのミニマリスムを支えているのは、知の最大化に対する渇望、すなわちマクシマリスムなのだろう。やはりミニマリスムとマクシマリスムもフィードバック関係にある。

私も世間に「しょーもなー」と言われるよう精進せねば。