2009年1月9日金曜日

[37signals] 考えるよりも行動?

(原文: Leap before you look?)

Crate & BarrelのCEOであるGordon Segalは、分別が無かったからこそ事業を軌道に乗せる事が出来たのだ、と語っている。
「小売業に関する知識なんてまるでなかった」とSegalは当時を振り返る。「私はレストラン業務を通じて育ったので、サービス業に関しては知っていたけれど、小売業については知らなかった。値下げ額の動向を通じて価格の相場を把握するという事も知らなかった。輸入業務についても知らなかった。実際のところ、23歳という若さと分別の無さのおかげでここまで来れたのだ。前進に必要なのは情熱だけなのだし、深く考え込まずに猪突猛進することだね」とSegalは述べた。

「私たちのやったことはまさに1960年代のカウンターカルチャーの物語そのものだったんだ」とSegalは語った。「私たちは文字通り梱包をひっぺがし、商品を積み上げて商売したんだ。やり方が変だとは全く思わなかった。そりゃもちろん、みんな店に入って驚いてたよ、若僧二人でこんな商売を始めたということと、フランスの陶器やスウェーデンのガラス器具やデンマークの食器類を私たちが見つけ出してきてオールドタウンというシカゴの狭い通りにある店に持ち込んだことにね。今振り返ってみれば、店舗面積わずか1,700平方フィート(訳注: 約158平米)の小さな店に商品を入れることが出来ると思っていたんだから、全く、正気の沙汰じゃなかったよ」
君はこう思うだろう「業界ルールを知らなかったからこそ成功した、世間が考えているようなやり方を理解していなかったからこそ成功した、なんていう例が他にいくつあるだろう?」

私たちはずっと「転ばぬ先の杖」と教えられてきたが、この世にはSegalのような「考えるよりも行動」で成功を勝ち取った人もいるのだということを耳にすると興味深いものがある。

それじゃあ分別は成功への道ではないとでも言いたいのか? いやいや、もちろん大概の場合は分別こそが成功への道だ。だが、時によっては分別を欠いたものこそが勝利するのだ。NFLのクオーターバック達がいい例だ。月並みな話だが、最も賢いものが最も良いとは限らないのだ。
プロフットボールのドラフト選考にかけられるクオーターバック達はワンダリック人事考査テストという知能テストを受ける必要がある。1999年のドラフト一次選考を受けた5人のうちで唯だ一人殿堂入りを果たしているDonovan McNabbのワンダリック人事考査テストの点数は5人のうちで最も悪かった。他にMcNabbと同じくらい点数が悪かったのは誰がいたのだろう? Dan MarinoとTerry Bradshawが同じくらい点数が悪かった。二人とも素晴らしいクオーターバックだ。
こういったクオーターバック達は、ある意味、高い知能指数を持ち合わせていなかったからこそ成功を収めたのだろう。物事について深く考える知性ではなく根性で切り抜けてきたのだろう。

まぁ、無教育バンザイとか言いたいわけじゃないんだ。考えるよりも行動せよというのが他国を侵略する際の一番良いやり方ではないんだよなぁ。でももし君たちが、起業とかがそうなんだが、何かちょっとしたリスクを伴うような事をする際には、反対者達、つまり計画を立てたりリサーチしたりテストをしたり勉強したり競争について学んだりといったことに莫大な時間と金を要するなどと主張して君に反対する人たちの事は無視するのが賢明だ。時によっては、自分が無知であることを気にしない事や、案ずるより産むが易しで世に何かを送り出す事こそが真に重要な事になるのだ。


訳者コメント:
最後の段落の "Leaping before you look isn't the best way to, say, invade a foreign country." の say に「なぁ、イスラエルさんよぉ」というコンテキストというか空気を感じたんですが、どうなんでしょうね実際のところ。

それはさておき、松岡正剛先生がこのタイミングで老子を千夜千冊してくださった事にシンクロニシティめいたものを感じましたよ。「聖を絶ち智を棄つれば、民の利は百倍す」という老子のパラドクシカルな一節と、現今の混迷を乗り切るメソッドとして37signalsが提示してくれたこのエントリ。同じ通奏低音が響いています。

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