2009年6月13日土曜日

[37signals] まず計画を立てなきゃというのは間違った考え方だ

(原文: The planning fallacy)

デンバー国際空港やボストンの The Big Dig(訳注: 高速道路網を地下トンネルに置き換える都市再構築プロジェクト)といったプロジェクトが何年も遅滞したり数十億ドルの予算にふくれあがるのを見るにつけ、これだからお役所的なやり方は無駄が多いし時間もかかりすぎるんだ、と我々は批判する。だが、プロジェクトを台無しにするような計画立案を行うのは巨大組織や国家機関に限らない。誰もがその愚を犯す。これが "plannning fallacy" というものだ(訳注: まず計画ありきといった感じの誤った認識のこと)。我々は、物事について計画を立てることが可能だと思い込んでいるが、実は計画を立てるなんて不可能なのだ。

調査によると、人に「それは現実を見据えた上でのシナリオか、それとも希望的観測に基づいたトントン拍子で進むシナリオか?」と問うのは無意味だということが明らかになっている。どっちみち出てくるのはトントン拍子に進む方のシナリオだけだからだ。これは案件の大小を問わず成り立つ。

我々はなかなか現実的になれない。計画通りに物事が進むと思い込んでしまうのだ。予期せぬ病気・ハードディスクのクラッシュ・マーフィーの法則的諸々を計算に入れて考えるなんてことは絶対にしない。

もし諸君が大げさな事前計画というものに全幅の信頼を置いているのであれば、これはすなわち諸君が諸君自身を偽っているという事に他ならない。まぁ「自由になれる」という良い側面もあるけどね(訳注: 計画という絵空事によって、現実を直視するという苦役から解放されるという皮肉か)。ものごとの進捗を遅らせ君が現実的になることを妨げるこのやっかいな計画作業というものは大概、時間の無駄だ。だからそんな作業は飛ばしてしまえ。もし諸君が本当にプロジェクト遂行に要する時間と開発資源を見積もりたいのであれば、まずは手を付けてみる事だ。


訳者コメント:
37signalsの記事を読む場合に限らないのだが、ものごとには必ずdarksideとlightsideがあるということはしっかり認識しておく必要がある。

この記事は一見、計画というものを全否定しているように思われるかもしれないが、そうではない。世間一般が計画というもののlightsideしか見ていないことに関し、きちんとdarksideを、すなわち計画というものが現実逃避の道具になってしまったり、プロジェクトの足枷にしかなっていなかったり、計画と遂行が本末転倒しているといった例を紹介しているだけの事だ。

また、lightsideとdarksideが不可分であるという事も認識しておく必要がある。メリットだけ得てリスクは切るなんていう御都合主義などありえない。

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