(原文: Sell Your By-products)
ソフトウェア・Web 業界は、林業や石油業やとうもろこし・大豆農家から学ぶ事がたくさんある。彼らは廃棄物を活用することで多額の利益を上げているからだ。
林業ではおがくず・切れ端・細断された木材といった、かっては廃棄物とされていたものを販売して相当な利益をあげている。現在私達はこういった副産物を、暖炉にくべる合成薪・コンクリート・氷の強化材・マルチング材(訳注: 植物の根をおおって水分の蒸発をふせいだり温度を保つ園芸材料)・パーティクルボード(訳注: 木片と接着剤を加熱成形した板)・燃料・家畜やペットの寝床・冬道の滑り止め・除草剤・その他と言った形で目にしている。
超精製された石油はプラスチック・化粧品・食品・ゴム・合成繊維・殺虫剤・肥料・人工心臓弁・歯磨き粉・洗浄剤・ワックス... リストはまだまだ続くのだが、こういったものとして利用されている。
とうもろこしや大豆は精製・加工されて日常のあらゆるものに利用されている。昼までに君たちはおそらく、それと知らずに数ポンドのとうもろこしから作られたエネルギー資源を消費することになる。HFCS(ブドウ糖果糖液糖)・キサンタンガム(増粘多糖類)・デキストリン(賦形剤)・マルトデキストリン(甘味料、エネルギー補給サプリメント等で使用)・MSG(グルタミン酸ナトリウム)といった形で食品にこっそりと入っていたり、君の燃料タンクにバイオエタノールといった形で入っている。
副産物
上に挙げたものは全て副産物だ。林業はもともと建築資材として木を伐っていた。石油はもともと燃料として掘削されていた。とうもろこしと大豆はもともと食品として栽培されていた。だが今日これらの産業は、いかにして廃棄物を利用し、より多くの生産物を作り出すかについて理解するに至った。彼らは残り物に圧搾・加圧・精製・加熱・冷却・その他の処理を加えてお金に変えた。
我々は幸運だけど、それほどじゃない
ある意味、ソフトウェア業界に身を置くのは幸運なことだ。仕事は楽だしね。仕事と言えば、考え・キーボードを叩き・マウスを動かすくらいのものだ。適切な場所に描画し、文章を正しい順番で配置すれば製品の出来上がりだ。いやはや、普段やってる事そのままじゃん。
だがこの幸運が副産物を見つけ出すことを困難なものにしている。林業の会社には廃棄物という目に見えるものがあった。おがくずをほったらかしにするわけにはいかなかったのだ。一方我々の方はといえば、そういったものが見当たらない。あまつさえソフトウェア開発では副産物など生じないと考える始末だ。これは近視眼的だ。
何かを作ると他の何かが生じる
何かを作ると他の何かが生じる。世間で言うように、諸君は絶え間なくコミュニケーションを行い、絶え間なく他の何かを作り出しているのだ。物事に副産物は付き物だ。目ざとくて且つ創造性に富んだ起業家達はこういった副産物を発見し、そこに好機を見出す。
副産物としての Getting Real
Getting Real は副産物だ。書いている時はそんな事は思いもよらなかったんだがね。会社設立やソフトウェア作成を通じて得た経験というものは実務から生じた廃棄物だった。当初そういった廃棄物はブログへ掃き集められ、後に研修会のネタとなり、PDF化され、ペーパーバックになり、無料のオンライン書籍になった。この副産物は 37sinals に百万ドルの直接的利益をもたらし、更に百万ドル超の間接的利益をもたらした。
副産物としての Ruby on Rails
Ruby on Rails はもう一つの副産物だ。Basecamp 製作によりもたらされたのが Ruby on Rails だ。作業時には Ruby on Rails を作っているなんて言う意識は全くなかった。しかし David が店の床に転がっているそれに気付いた。我々はそれを見て・拾い上げ・手を加えた。この副産物が Web を変えた。
諸君の副産物は何だろう?
諸君のやっていることについて良く考えてみよう。やっていること全てについて詳細にだ。おそらく副産物を見出す機会はごろごろある。ぐはぁ、職場すら副産物になるじゃんか。作業を行う為に借りているわけだが、就業時間以降はどうしてる? イベント会場として貸すというのはどうだい? カリフォルニアのサンラファエルにある Mary 布団店がやっているように、スタンドアップコメディ(訳注: アメリカの一人漫才)のショー会場にすることを思い付くだろう。ショーを見た人が布団を買いにくるということもある。これはおいしい。
Wilco(訳注: オルタナカントリーのバンド)がやったように、日々の体験をフィルムに収めてレコードを作るというのもありだろう。彼らは何としてでもレコードを出す必要があった。レーベルとの問題も何とかやりくりしていた。バンド内部にも何かと問題があった。こういったことは彼らのレコード製作に伴ってもたらされたものだ。もし彼らがカメラを回していなかったら、貴重な体験を逃すことになっただろう。
現今の経済状況においては一層重要だ
困難な経済状況下において、副産物を売る事はより有利に働く。すでに作り出したものの中から新たな収益源を見つけ出すことが、キャッシュフローを増やしビジネスを上手く回し続ける助けとなる。我々が提案しているにもかかわらず諸君がいまだ製品への課金に踏み出せないでいるとしても、製品の副産物に課金するという道が残されている。どのようにして作ったのかを発表する研修会でも良し。顧客サポートを通じて学んだ教訓でも良し。製品に含まれるコードには、転用して収益化出来るものもあるだろう。
というわけで、諸君が何かを作る時には他の何かも同時に生じているのだという事を忘れないでほしい。それを見つけ出し・パッケージし・売るのだ。収益源は至る所にある。
訳者コメント:
「futon=布団」という英語の現状を知ったら、田山花袋もふっ飛んだことでしょう。
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