2009年3月10日火曜日

[37signals] 製品に課金するという信念を Web はどのような経緯を経て失うに至ったのか

(原文: How did the web lose faith in charging for stuff?)

製品に課金する事への疑念が世間においてあまりにも長いこと語られてきたせいか、現時点ではもはや無料が当たり前になってしまったようだ。無料が当然だなどという考え方はとっくの昔に効力を失っていると私は確信しているんだが、未だに逆な現状を前にして驚きを禁じ得ない。

「これからは無料サービスだ」「広告収入でやっていくんだ」「ベンチャーキャピタルの資金が我々に成功をもたらす」「買収されるのが夢」というミーム(訳注: 思想的因子・意伝子)に Web はすっかり感染してしまい、もっとシンプルなやり方で行こうという信念はほとんど失われてしまったようだ。

スタートアップスクールで話したとき以来、多くの起業家からアプローチを受けているが、彼らが口にするのはそういった話ばかりだ。彼らはニッチ市場を見出し、それをターゲットにした製品を作り、「なんてこった、思い切った手を打たんとな」と考えるに至り、課金を行うことを決心する。課金が作動し、顧客が請求書通りに支払い、会社が成長するのを目の当たりにして彼らはびっくりする。

このことは夢のように素晴らしい話であると同時に、人々にはなかなか受け入れられないものでもある。上に示した起業家の行動が明らかにしているものの中には、驚く要因など何も無いというのに。当然の結果なのにそう思われてはいない。その理由は、最初からきちんと利益を上げるようにしようという姿勢に何か不自然なものを感じてしまうという病がスタートアップ起業の文化に取り憑いているからだ。早いうちから収入をあげることが後の大成功の妨げになると思われているからだ。

こんな考え方は気が滅入るし間違っているのだが、私の見るところ今や状況は変わりつつある。サンフランシスコのスタートアップ企業が採った、昔ながらの一攫千金というやり方が通用した日々のことを思うと感慨深いものがある。こういったやり方は CDO(債務担保証券)やゼロダウン住宅ローンとともにトイレに流されることになるだろう。

その一方で我々を待つのは、製品に金を払うのは当然だとされる世界だ。Jason が「無料サービスに未来は無い」と大見出しを付けて話す必要など全く無い世界だ。Web においても大半の企業が顧客からダイレクトに収入を得るというシンプルな世界だ。

そんな日が来るのを楽しみにしている。

0 件のコメント:

コメントを投稿